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【選評】明日の猫へ
- よもぎ
2018/08/17 (Fri) 21:36:09
よもぎです。一番乗りかな?
今回気になったのはこの4作品。これっていう正選もなく、これっていう逆選もなく。
限りなく○に近い△、限りなく△に近い×でつけさせていただきました。
△<明日の猫へ2>目隠しを解かれると、眼前には、狸と狐と猫の姿があった。
ボニーが猫なら、そりゃクライドも猫を選びますね。他の作品が『猫』をアイデアとしているのに対して、この作品は『明日』からの発想。ハードボイルドでよいです。
○<明日の猫へ7>猛暑日が続く中、家電店の片隅にひっそりとコタツが一つだけ販売してある。
この最初の1行がとてもいいです。真夏の家電店にコタツが一つ。シュール。
コタツを手に入れたからには、猫の帰りを待たなくてはいけないのですね。
ちょっとホラーでよいです。
○<明日の猫へ10>父が遺した家で伯父が遺した猫と暮らしてきた。
>毎晩ランダムにひと部屋を選び餌と水を置く。猫が餌を食べようと食べまいと翌朝には片付ける。
この設定が不思議でいいなぁと思いました。きっとカザフスタンにも来てくれると思うのです。転勤先でも餌と水を置くことをオススメします。
×<明日の猫へ11>蓋のある箱には、他に、一定量のラジウムとガイガーカウンター、青酸ガスの発生装置。
これは『シュレディンガーの猫』からのアイデアなのでしょうか。数学とか物理を思わせる言い回しがカッコいいなーと思いますし、最後の1行で、すとんと突き放すのもよいと思います。
が、個人的に『シュレディンガーの猫』という概念を、サイコーによくできた超短編だと思っているので、なまなかなことではそれを超えられないのです。
私事ですが、わたしの部屋にはエアコンがないので、毎年、夏の創作はけっこうツライのです。
この酷暑の夏に投稿したみんなはえらい。自分もえらい。みんな優勝。