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【選評】共通点
- 水琴桜花 URL
2019/11/14 (Thu) 19:50:28
こんばんは。今回のタイトルを選ばせてもらった水琴です。
『共通点』というタイトル案に惹かれたのは、二つの異なる事象から一致する部分を目掛けて、イメージを飛躍させるような物語を読みたいなと思ったからです。
全体を通して気になったのは、抽象的な表現が多く見受けられたことでした。これはあくまでも私の解釈なのですが、イメージを広げようとして「ふわっと」した表現に頼ってしまうと、物語がどこに向かっているのかわからず、かえって想像力が萎んでしまうのかなと感じました。
○共通点3
>アルシーシュルキュール洞窟群には、
そんな中で、こちらの作品は『音』と『色』を使った具体的な描写だったので、感覚の深いところから想像力が刺激されました。歌の響きを通じて、かつて洞窟の壁画を書いた人たちの光景が蘇るようでした。「赤い顔料の点がひとつ、打たれていた」という描写も素敵です。
ただ、それだけに(作者に何らかの意図があってのことだとは思うのですが)、最後の一文は蛇足に感じました。もう少し自由に想像させてくれる余地を残してくれたら、迷いなく◎でした。
○共通点6
>「中3の冬にね母親が倒れたの。
「読みたい」と思っていた作風とはぜんぜん違いましたが、これは好きです。
こういう、共通点から感じられるささやかな幸せっていいですね。苦労された『彼女』さんにはこれからも幸せになって欲しいと思います。
穿った読み方かもしれませんが、ちょっとホラーの余韻も感じました。家族構成といい、『彼女』の昔語りには、これから起こることの「共通点」を暗示してるような……。
私としては「相違点」の方を活かして、かつての家族の因果を断ち切ってもらいたいなと思いました。
×共通点5
>度胸試しが宏の仲間内で流行り出した。
舞台設定や雰囲気には惹かれました。ただ、何度か読み返してみましたが、タイトルとの関わりがよくわかりませんでした(読み落としだったらすみません)。
いずれにしても、500文字の中に固有名詞4つはちょっと無理があったかなと思います。